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但馬地方は、山々に恵まれ、豊かな野草が生い茂り、和牛の飼育に適していました。そのうえ、険しい山と谷に囲まれた土地では、峠を越えて牛を交配させることは非常に困難でした。そこで、その谷あいの中だけでの牛の交配が続けられました。これがいわゆる「閉鎖育種」で、限られた地域内で優良な牛の遺伝子を効率的に活用し、資質改良を図る方法です。閉鎖育種によって改良が重ねられた但馬牛は、その素晴らしい特徴がより強固なものとなっています。
明治以前の但馬牛は、主に農耕、運搬、子牛の生産に用いられ、繁殖能力や泌乳能力の強化が改良目標とされました。 明治時代にイギリス原産の短角種デボン種、スイス原産のブラウンスイス種の種雄牛などを輸入、外国種との雑種生産を盛んに行い、但馬牛の改良に取り組みました。 外国種との雑種となった但馬牛は、泌乳能力が高く、優れた点もありましたが、肉質が劣悪化し、使役能力も低下した(このほか但馬牛として好ましくない形質が現れた(=毛色・角・蹄・舌などの白色化、骨太など)ことから雑種生産を打ち切り、外国種の血液の入った牛の排除(淘汰)に努めました。血統の登録と但馬牛の標準体格の制定は、但馬牛の改良と固定化によって、意義深いものとなりました。また、「蔓(つる)」と称される系統の維持にも大いに貢献しました。 但馬牛の子牛は、肥育素牛として、生後8〜10か月齢で県内外の各地に売られていきます。その後、それぞれの地域で肥育され、その土地の牛として出荷され、食肉に供されます。上質の牛肉の産地として知られる神戸、三田、松阪、近江などで肥育している素牛の大部分は、実は兵庫県の畜産農家で生産された但馬牛なのです。
このように、但馬牛が肉牛の素牛としてだけでなく、種雄牛、母牛としても全国各地で高く評価されているのは、但馬のすばらしい風土で二百年にもわたって営々と創り上げられた「蔓(つる)牛」という優秀な系統牛の血を受け継いでいるからです。 ![]()
但馬牛のふるさと、兵庫県美方郡新温泉町の但馬牛飼養農家は99戸で、飼育頭数は繁殖牛が735頭、肥育牛は150頭弱(美方郡域内では全部で2000頭強)です。その昔、繁殖牛だけでも2.100頭以上いました。かつて農業経営にかかせない
農機役の牛として、また、農家経済の大きな収入源として1農家1頭を飼育しておりましたが、時代の変化で、 いまは3分の1近くに減少しました。しかし、今でも毎年4回の仔牛競り市が、ゆむら家畜市場で開催され、全国から肥育関係者の皆様が仔牛購入ため来られます。 平成4年に行われた全国和牛能力共進会肉牛の部で、兵庫県から出品した但馬牛が最優秀賞(内閣総理大臣賞)を受賞しました。 (新温泉町ホームページより抜粋)
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